よくばりやじろべー

退屈な日々にドロップキック

漫画家のお仕事

年末年始に一気放送していたNHKの漫勉という番組が、面白い。

 
漫画家さんたちの仕事を定点カメラで撮影して、浦沢直樹さんが漫画家さんとその映像を見ながら対談する番組。
 
漫画家さんの仕事を観る機会がなかったので、出来上がっていく様や、書き方や道具が人によって様々で単純に面白いのと、その映像を見ながらの対談で出てくるエピソードが魅力的。
 
 
海月姫や東京タラレバ娘の東村アキコ先生は、とにかく早くて勢いがある。するすると筆が滑る感じが美しい。迷いがなくて、スルスルと魔法のように物語が紙の上に踊る。
 
まずはゴルゴの眉毛をガッツリマジックで書き始める。全体の構成が素晴らしくて、もはや絵画を見てるかのようで、背景も含めて、その1コマがスーパーカッコイイ。
 
うしおととらやゴーストアンドレディの藤田和日郎先生は、修正液がまるで筆のようで、消しているようで、表現を加えている姿が印象的で。割り箸にインクをつけて書くなんて思いもよらず、さらに割り箸から浮き上がった絵の迫力ったらなかった。
 
ソラニン、ぷんぷんの浅野いにお先生は、
なるほど、デジタルとアナログの融合ってこうなるのかと、他の先生方とは全然違う作業工程にびっくり。
 
線一本でこんなにも印象が変わるんだなぁ。すべての線に意味があって特に目周りの線はちょっと違うだけで、表情ががらっと変わる。
どんなに技術が発展しても、これは、この仕事は絶対に真似できないよね。
尊い仕事だわー。
 
 
さいとう・たかを先生が、ある作品を終わらせた時に、
読者に「なんの権利があって終わらせるんだ!」というエピソードが印象に残っていて、漫画って漫画家のもののはずなのに、続けているうちに、読者のものになっちゃっうっていう話。
本当におかしな話なんだけど、そこまでその物語にのめり込んで、愛しちゃう、漫画ってそんな不思議なパワーが確かにあるよなぁ。
 
浅野いにお先生は「電子書籍」について言及していて、電子書籍だと拡大縮小もできるし、漫画の見方が全然変わる。見開きの概念もなく、今のコマ割りも意味を持たなくなる。と。
 
今まで目にしてきた多くの漫画はコミック誌の形態がベースになっていて、あの形に合わせたフォーマットで演出されている。というか、あれにとって変わるフォーマットがない。正しく言うと電子書籍なんかは新たなフォーマットなんだけど、結局そこに載ってる作品って、既存フォーマットの焼き直しなわけで。
そう考えると既存のあのフォーマットってすごいんだな。大発明だよなーと思うわけです。
 
いやもうね、漫画家ってすごい。
 
今回は再放送でしたが、シーズン2が3月に放送されるらしいので楽しみです。